2021年も11月になり、季節のうつり変わりと共に、店頭に並ぶ旬のフルーツも変わってきました。そのなかでも、今回は食べごろを迎える、山形県産の人気の洋梨『ラ・フランス』を使った、デザート感覚のカクテルをご紹介いたします。
毎年この時期になると、ラ・フランスを使ったフレッシュ・フルーツ・カクテルをお出ししているのですが、今年はどのようなカクテルにしようかと考えていたところ、あるデザートがふと浮かびました。
フランスのデザート「ポワール・ベル・エレーヌ」
それはフランスのクラシカル・デザートの1つ『ポワール・ベル・エレーヌ(洋梨のベル・エレーヌ)』です。近代フランス料理の父と称されるシェフ『オーギュスト・エスコフィエ氏』が考案したもので、洋梨が主役の見た目も美しいデザートです。
ベル・エレーヌという名は、1864年初演されたジャック・オッフェンバックのオペラッタ 『ベル・エレーヌ(美しきエレーヌ)』からきていて、 エレーヌは、劇中に登場する女性の名前です。その名がつけられているだけあり、見た目は美しくエレガント。フレンチの世界では有名且つ人気のあるデザートです。
皮を剥き、バニラビーンズやレモンと一緒にまるごとシロップ煮にした洋梨を、バニラアイスを添えたお皿に立たせるようにのせて、温かく艶のあるチョコレートソースをかけて仕上げます。洋梨・チョコレート・バニラの風味が一体となり、美味しさが広がる逸品です。今回はその味わいをイメージして、カクテルで表現してみたいと思います。
まずは自家製バニラウォッカを作成
ラ・フランス自体は、本来のポワール・ベル・エレーヌのようにコンポートにはせず、フレッシュな状態でカクテルにしたいため、代わりにベーススピリッツの方にバニラの香りをつけます。使用するのはフランスにちなみ、フランス産の白ブドウが原材料のウォッカ『シロック』をチョイス。シロックはよくある穀物由来のウォッカとは異なりフルーツとの相性は間違いないです。
作り方
- シロック1本(700ml)に対し、バニラビーンズ(鞘)2本、ドライレモンスライス1枚を入れて、3日ほど漬け込む。
- 漬け込んだあとはコーヒーフィルターを通して濾過。
こちらでベースとなるバニラウォッカの完成です。レモンスライスを入れることで、バニラの甘い香りの中に爽やかな風味が加わります。
ガーニッシュづくり
次に、カクテルに添えるガーニッシュ、ポワール・ベル・エレーヌをイメージしたチョコがけのドライ・ラ・フランスを作ります。
作り方
- ラ・フランスを薄くカット
- ディハイドレーターで18時間ほどかけて約57℃で乾燥
- ドライ・ラ・フランスが完全に冷めたら、テンパリングしたチョコレートにディップ
- 冷蔵庫で冷やしたら完成
カクテルレシピと作成手順
- 自家製バニラウォッカ 20ml
- ラ・フランス 1/2コ
- フレッシュ・レモン・ジュース 5ml
- シュガー 1tsp
- チョコレートソース 適量
よく熟れたラ・フランスを半分にカットし、皮をむいて適当なサイズにカットしたら、自家製バニラウォッカとフレッシュレモンジュース、シュガーと合わせて、ブレンダーにかけていきます。ラ・フランスの果肉がとろとろのピューレ状になるまで、しっかり回します。あとは氷をいれて、ボストンシェーカーで冷やし混ぜたら、バーズネストを通してグラスに注ぎ入れます。バーズネストは目が粗めにできているため、残したい果肉は濾さずに、粗い氷の粒などが入るのを防いでくれます。
仕上げにチョコレートソースを液面に描く様に垂らし、さらに優美さを出すために、金箔をちらします。作っておいた、ガーニッシュとセルフィーユの葉を飾ったら完成です。
飲む場所によって、口の中に入ってくるチョコレートソースの量が変わるため、味の変化を楽しみながらお召しあがりください。ガーニッシュをかじりながら味わうと食感も加わっておすすめです。アルコール度数も比較的優しめなため、スイーツ好きな女性のお客様にもぜひお試し頂けたらと思います。
以上、昔フレンチレストランで働かせてもらっていた頃を思い出しながら、このカクテルを作ってみた小林がお届けいたしました。