禁断の美酒アブサン~アブサンファウンテン(給水器)を使ったおすすめの飲み方

 

バーには様々な種類のリキュールがありますが、我がBAR Zolddichにもあるリキュールの中で少し特殊なのが、薬草系リキュールのアブサン(Absinthe)。なぜ特殊かというと、他にはない独特な味・香り、飲み方…そしていろんな歴史や逸話を持つ「魔性のお酒」なんです。

まだまだご存じない方も多いと思うので、今回そのアブサンについて紹介したいと思います。

【アブサンの原料】

主原料はニガヨモギ(ワームウッド)というキク科のハーブ。他にもアニスなど多数のハーブが使われます。アルコールにそれらのエッセンスを抽出して蒸留。更にもう一度ハーブを漬けて仕上げているものもあります。他のハーブ系リキュールにはない独特なハッカのような香りを持ちます。世界各国で作られており、スイス、フランス、チェコ、ドイツを中心に特にヨーロッパで豊富に作られています。

【アブサンの色の不思議】

大きな特徴である色について。銘柄によりますが無着色のものであれば少し緑味がかった透明色。しかしそこに加水をすると…不思議なことに白濁するんです。これはアブサン内のアルコールに溶け込んでいたハーブの非水溶成分(精油成分)が、水を加えると反発して出てくるためです。

白濁の度合いはほんのりと濁るものからミルクのように真っ白になるものまで様々。緑から白へとみるみる変化する様子は、何度見ても神秘的で美しい。

左が加水前、右が加水後のアブサン
(フランスアブサンのLa Charlotte ラ シャルロット)

【アブサンの歴史】

スイスで作られていたニガヨモギを原料として、一人の医師が薬酒として作ったのが始まり。そのレシピを酒造メーカー「ペルノー」が買い取り、商品化したのがアブサンの発祥。「緑の詩神」や「緑の妖精」と称され、インスピレーションを得る霊酒として、ゴッホやピカソなど多くの芸術家が魅了され愛飲したことでも有名です。

ですが、アルコール度数が高いうえ安価だったことで多くの中毒者をうみだしました。またニガヨモギに含まれる「ツヨン(thujone)」という成分が、麻薬に似た向精神作用(幻覚など)を引き起こすとされ、人を破滅に導く酒として問題視されるようになったのです。そのため約100年間にわたり多くの国で製造・販売が禁止。(それが「禁断の酒」「緑の魔酒」などとも呼ばれる所以ですね。)

しかし中毒症状の原因がアルコールなのか、ツヨンなのかという明確な区別がつけられないことや、ツヨン自体の毒性の有無に対する疑問視もあり、WHOにより示された安全なツヨン濃度の規定値に沿って生産が再開、今では安全に日本でも飲まれるようになりました。

BAR Zolddichのバックバーにも約10種類のアブサンが並んでいます。

【アブサンの楽しみ方】

ぜひ試して頂きたい飲み方は水割りです。しかし水割りといってもただ水を入れただけの水割りではありません。アブサンファウンテンというアブサン専用の給水器を使う「儀式」とも言われる独特な作り方をご紹介します。飲み方にはいろいろなスタイルがありますが、今回はもっともインスタ映えするであろう「チェコ・スタイル(ボヘミアン・スタイル)」をご紹介します。

基本的に度数の高いもの(60%以上がほとんど)なので、水を加えて飲みやすくするのですが、前記したようにアブサンには精油成分が溶け込んでいます。そこに一滴、一滴とゆっくり加水することで、きめ細やかな油膜が形成され口当たりがよくなる。そのための道具がそのアブサンファウンテン。お好みで甘みを加えるためにアブサンスプーン(アブサン専用穴あきスプーン)も使って砂糖を溶かし入れて作ります。

①まずグラスの上にアブサンスプーンを置き、角砂糖をのせてその上からアブサンをグラスに注ぎ入れます。

②アブサンが浸み込んだ角砂糖に火をつけ、焦げ付かない程度に燃やしたらアブサンファウンテンの蛇口から一滴ずつ水をたらして加水していきます。

アブサンが染み込んだ角砂糖に火をつけ、アブサンファウンテンから水を垂らしていく。

③砂糖が溶けながら水とともにグラスに落ちていき、徐々に白濁していくのを楽しみながら、だいたい3~5倍まで加水したら完成。

※角砂糖に火をつける飲み方はあくまでチェコで流行ったスタイル。伝統的なスイスやフランススタイルでは火はつけません。基本的に質の良い美味しいアブサンではやらない方がいい飲み方なので注意。

ちなみに個人的に大好きな銘柄は、私が好きなアーティストでありアブサン愛飲者でもあるMARILYN MANSON(マリリンマンソン)がプロデュースした「Mansinthe マンサン」。度数が66.6%といかにも魔酒という感じなんですが、癖も少なくバランスのとれた味わいでアブサン初心者の方にもおすすめです。

MARILYN MANSONプロデュースの「Mansinthe マンサン」

退廃的なイメージを持ちつつも、一度味わうと虜になる魅惑の美酒アブサン。興味を持った方は是非一度お試しあれ。 以上小林でした。

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