王侯貴族のお酒「ブランデー」について~歴史上の人物やエピソードとともに3種をご紹介

 

こんにちは川口です。

前回はイギリスの最盛期ヴィクトリア女王に因んだお酒を紹介しました。王家や王室に関わるものは伝統や歴史を感じますね。

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という事で今回テーマは、王侯貴族に愛されるお酒“ブランデー”です。

ブランデーの起源や産地について

まず「ブランデー」とは、フルーツを原料とした蒸留酒の総称です、なのでいろいろな種類の「ブランデー」があります。単にブランデーといえば、ブドウを原料とした蒸留酒で、わかりやすくいえばワインを蒸留したものです。

ヨーロッパでは多くの国や地域でワインを造っているため、ブランデーもまたさまざまな国と地域で造られていますが、ブドウを原料としフランスで生産されたものが、一般的に「ブランデー」として(フレンチブランデー)多く流通しています。

聞いたことのある方も多いと思いますが、フレンチブランデーにも、「コニャック」と「アルマニャック」という2大産地があります。15世紀から16世紀にブランデーの生産が始まったとされ、“太陽王”ルイ14世がブランデーを保護する法律を作り、フランス宮廷やヨーロッパ中の宮廷に広まったとされます。

ブランデーは当初、農民が余剰になったワインの消費や保存のため、またオランダ人が蒸留器を持ち込み、船での長期輸送に耐えるために蒸留したとも言われます。当時は冷蔵庫も当然無く、まだ飲み水も安全とは言えない時代、水で薄めてワイン風味にして飲んでいたよう(ワインも水割りにして飲料水変わりにしていた)で、それを木樽に入れたところ熟成し、味が良くなった事から、現在の「ブランデー」になっていきます。

宮廷に広まったブランデーは珍重され王侯貴族の酒となって行きました。そんなブランデーを歴史上の人物とのエピソードを含め、少ないですが紹介させて頂きます。

クルボアジェ~ナポレオン家御用達のコニャック

クルボアジェは1809年創業、元々はワインとブランデーを扱う商社でしたが、後に最高級のコニャックの品質を保つためには、自らが生産者となるべきとし、コニャック地方に移転しました。1811年かの「ナポレオン1世」に気に入られ、兵士への配給品に選ばれます。

その後失脚したナポレオンは、セント・ヘレナ島に流刑になりましたが、その際にも船に積み込み、護送のイギリス兵達に振舞ったと言われます。その後、1869年フランスは第二帝政となり、ナポレオンの甥であるナポレオン3世が即位すると、王室御用達の認可を受けました。

ボトルにはナポレオンのシルエットの意匠があります。

レミー・マルタン~ルイ15世に認められた至高のコニャック

創業は1724年の老舗、元々はワイン製造を行っていましたが、創業者のレミー・マルタンが土壌がコニャックの原料となるブドウ(ユニ・ブラン種)の生産に最適であることに着目し、ブランデーの製造を初めます。1738年フランスは穀物の大凶作となり、時のルイ15世は各地のブドウ畑を穀物畑に転換させましたが、レミー・マルタンの畑だけは拡大を許可しました。

1874年レミー・マルタン創業150年を記念して、マルタン家がコニャックに移住してきた当時の君主であり、ブランデーの製造を推進したとされるルイ13世にあやかり、特別に作られたのが、高級ブランデーとして知られる、“レミー・マルタン ルイ13世”です。

残念ながら当店にルイ13世はありませんが、機会があれば飲んでみたいですね。

アレクサンダー~皇帝の名を冠した王侯貴族のブランデー

ブランデーベースのカクテルからご紹介。数あるカクテルの中でも有名な一杯。名称の由来は諸説ありますが前回紹介した、ヴィクトリア女王の王子で後の国王エドワード7世の王妃、アレクサンドラ・オブ・デンマーク妃からだとされ、夫エドワード7世の戴冠式の際、王妃アレクサンドラに献上されたものだったと伝わります。現国王チャールズ3世の高祖母にあたります。

日本やアメリカでは男性名のアレクサンダーとされますが、本来は、女性名の“アレクサンドラ”だったのかもしれません、フランスのコニャックを使用した際は、アレクサンドラと呼ばれる事もあるそうです。

カクテル言葉は「完全無欠」「初恋の思い出」

いかがだったでしょうか。今回は、王侯貴族に珍重されたお酒、ブランデーとブランデーを使用したカクテルのご紹介でした。BARと言えばウィスキーと思われる方も多いと思いますが、実はウィスキーが流行ったのも、フランスでブドウが大凶作になり、ブランデー製造量の減少が要因の一つだったりします。上記以外のブランデーも各種取り揃えておりますので、是非この機会にお試し下さい。

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