こんばんは!ガツンとピート香の効いたウイスキーが何より好きな亀井です。本日はバックバーにありつつもまだブログでご案内できていなかった、当店で1番スモーキーなウイスキーをご紹介したいと思います。
本日ご紹介するのは「オクトモア14.2 ヨーロピアンカスク」ですが、まずは「オクトモア」というウイスキーについて少しご説明していきます。
オクトモアの特徴とフェノール値
オクトモアはスコットランドのアイラ島という島にある、ブルック(ブルイック)ラディ蒸留所で作られているシングルモルトウイスキーです。「オクトモア」という名前は、蒸溜所から1kmほど離れた村の農場の名前からきています。(ゲール語で「偉大なる8番手」という意味を持ちます。)
そしてオクトモアの一番の特徴は、やはり強烈なスモーキーさです。オクトモアはアイラ産のヘビーピーテッドモルトを使用し、特徴的なスモーキーさを作り出しています。一説には「人間の感知できるフェノール値を超えている」とも言われているほどです。飲んでみると意外と甘味をしっかり感じられる繊細さもあるのが魅力のウイスキーでもあります。
フェノール値とは
スモーキーさを表す基準になるものとして、フェノール値(単位:ppm)という物があります。ウイスキーづくりの工程において、ピート(泥炭)を焚いて大麦麦芽を乾燥させる際につく、あの独特なスモーキーな香気成分であるフェノール化合物の濃度を数値化したものです。
有名どころのアイラモルトで比べてみると、“アイラの女王”と呼ばれる「ボウモア12年」が25ppm程度、“アイラの王”「ラフロイグ10年」が40~45ppm、そしてそれらも上回る「アードベッグ10年」が55ppmです。
それに対して今回のオクトモア14.2は128.9ppmとなっており、ボウモア12年の約5倍以上となっております。これでも今回の14.2はフェノール値が低めなほうで、過去には300ppmを超えるものもありました。
但し、「フェノール値」はあくまでも基準であり(もちろんフェノール値の高い銘柄は煙たいものが多いのですが)、フェノール値が高いもの=数値に応じて必ずしも「スモーキーでクセが強い」というわけではありません。
完成したウイスキーの液体で測ってあらわしている数値ではないのと、またフェノール化合物もクレゾールなどの種類が含まれる割合などによって香りのクセも違ってきます。(使ったピートの種類などでもクセは変わる)
オクトモアに関しては確かにフェノール値が高く世界で一番スモーキーとは言われていますが、ただ煙さだけを追求しているのではなく、飲んでみるとピート香以外の香りや味の複層性をしっかり感じられる繊細さもあるのが魅力のウイスキーでもあります。
エディショナル・ナンバーについて
今回のオクトモアには14.2という数字が付いていますが、この数字(エディショナルナンバー)にも意味があります。ナンバーのつけ方には大まかルールがあり、まず「.」の前の数字は「シリーズの番号」であることを表しています。
次に小数点以下があらわしているのは
- 「××.1」…バーボン樽100%原酒使用
- 「××.2」…がワイン樽熟成原酒とのヴァッティング
- 「××.3」…希少なオクトモア農場産の大麦を使用したもの。100%オクトモア地区で生まれたオクトモアの中のオクトモア。
- 「××.4」はヴァージンオーク(新樽)100%原酒使用
今回のオクトモア14.2は、14.2は14シリーズの中の、ワイン樽熟成原酒のヴァッティングウイスキーとなります。ファーストフィルのオロロソシェリー樽が40%、ファーストフィルのアマローネワイン樽が16%、セカンドフィルのアマローネワイン樽で構成されています。
アマローネワインとはイタリアでつくられているワインで、陰干しで乾燥させ糖度を上げたブドウを原料とする赤ワインです。また、2016年収穫のスコットランド産大麦を100%使用しており、アイラ島内で5年熟成した逸品です。
オクトモア14.2の香りと味わい
香りはもちろんスモーキーさを強く感じますが、ワイン樽由来のプルーンやベリーのような甘酸っぱいような香りも感じられ、またあとの方から焦がした樽香、ブラックペッパーのようなスパイシーな香りも続いていきます。
口に含むとやはりまずは強いピート香がきます。潮っぽさもありますが、アイラモルトらしさ全開なフレーバーに押されるわけでもなく、ワイン樽由来のドライフルーツのような甘みもしっかり感じることができ、心地よいスパイシーさも持ち合わせています。
「フェノール値128.9ppmのわりには…そこまで煙くないか?」なんて思った頃に、フィニッシュでまたスモーキーの長い余韻がやってくるという、複雑な味わいが面白い1本です。
スモーキーなウイスキーは好きだけど、鉄板のラフロイグやアードベッグじゃなくて他に何か…という方には是非ともお試し頂きたいと思います。
飲み方はロックかストレートでゆっくり味わって頂くのがおすすめです。個人的には、ストレートを楽しんだ後に少しだけ加水をする飲み方が好きです。最終的には個人の好みになりますので、自分好みの飲み方の正解を探すのを楽しみながら飲んでいただければと思います。