こんばんは!亀井です。本日は人気漫画「刃牙」シリーズに登場した事で有名な、コニャック(ブランデー)の「ハーディー」についてご紹介させていただきます。何を隠そう僕は刃牙シリーズの大ファンでして、このお酒が出てくるシーンはかなり印象深く覚えています。
主人公「範馬刃牙」の父親である、地上最強の生物こと「範馬勇次郎」が作中でハーディーを「上等なコニャックだ。飲(や)りねぇ…」「安物のキャンディだ…コニャックによく合う…」と言って、べっこう飴と一緒に口に流し込み「カロ…コロ…」と噛み砕きながら、ご満悦な表情を浮かべておりました。
ブランデーについて
ここでブランデー(コニャック)について少しご説明致します。作中で勇次郎はこの酒を飲む前に「良い葡萄だ…樽も良い…」と感嘆するのですが、このセリフ通り「葡萄」と「樽」を使用する物です。これはつまりワインと同じ、主に葡萄を原材料としたお酒です。ワインは醸造(発酵)して作られますが、ブランデーはそれを蒸留して作られます。
ブランデーの名前の由来も「ランデヴェイン(焼いたワイン)」をオランダ語読みで「ブランデウェイン」と言う名前にした事から始まっており、消費量の多いイギリスで縮めてブランデーと呼ばれる事になりました。
ブランデーの起源としては13世紀中旬に錬金術師がワインを蒸留し「命の水(アクアヴィット)」と命名したのが始まりです。当時は薬としても使われていました。酒は百薬の長とは良く言った物ですね。
17世紀頃に本格的な製造を始め、王宮に納められるようになりました。ここの辺りから高級酒の片鱗が見えています。そして「コニャック」と呼ばれるのは、フランスのコニャック地方で作られたブランデーのみをそう呼ぶ事が出来ます。スパークリングワインでいう「シャンパン(シャンパーニュ)」のような感じです。
ハーディーの歴史
そんな歴史なるコニャックのなかでも、勇次郎が愛飲しているハーディーについての歴史も触れていこうと思います。ハーディーは、イギリス人のアンソニー・ハーディー氏が自身の名前をつけたA・HARDY社(1863年創)をフランスのコニャック地方に設立し、自らの名前をフランス語読みの「アントワーヌ・アルディ」としてコニャック酒の輸出業を始めます。
6年後の1869年には、オランダのアムステルダムで開催された国際博覧会でハーディーのコニャックが優秀賞に選ばれるなど、着実に高級コニャックとしての地位を獲得していきました。
1910年からはヨーロッパ全土に向けコニャックの輸送を開始しました。ハーディーの評判はみるみる高まっていき、1950年にはフランスのコニャック売上3位まで上り詰めました。
その後は代々、彼の子孫たちが後を継いでいます。ヨーロッパ東部・北部、中央ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカなど海外への輸出にも力を入れて範囲を拡大していき、今では、5大陸へ輸出を行う超一流のコニャックメーカーへと成長しました。
世界一高級な酒
ハーディーはかつて世界で最も高価なコニャックとして、ペルフェクション・ルミエールがギネスブックの世界記録に登録されていました。原価で約250万円程となっており、現在ネットでは約860万円と気軽に手を出せる品では無いですね…そもそも置いてる店があるのでしょうか。
ペルフェクションは「完璧」という意味であり、世界で1200本しか販売されず国内には108本あると言われています。コニャックは長くても数十年の熟成期間をもって瓶詰めされますが、ペルフェクションは100年という規格外過ぎる熟成年数となっております。
ちなみに有名ホストのローランド氏が、2018年の現役引退時に現金4000万円でこのボトルを贈られています。この事は歌舞伎町の伝説としてTVにも取り上げられておりました。
当店にあるハーディーは3種類
ゾルディックには現在ハーディーシリーズは「XO フィーヌシャンパーニュ」と「VSOP フィーヌシャンパーニュ」「クリスタル・デキャンタ」の3種類があります。
シャンパーニュとはブランデーを作る際に使われている畑の事を言い、グランド・シャンパーニュとプティド・シャンパーニュをブレンドした物を言います。前述したフランスのシャンパーニュ地方とは同名の別物になります。
VSOPとXOの違い
これらはブランデーやコニャックの等級を意味しています。VSOPとは下記の略で、ブランデーのクラス分け表示のひとつとされています。
- Very(非常に)
- Superior(優良な)
- Old(古い)
- Pale(澄んだ琥珀色)
熟成度の高さがブランデーの澄んだ琥珀色を生み出し、VSOPとは「とても素晴らしい、熟成された、色合いも美しいブランデー」という意味あいになります。
X.Oは、Xは「EXTRA 」から来ており、オールダージュというさらに上の等級もございます。これらは熟成年数で決まる為、何を飲もうか迷った時の指標にもなります。
ちなみに冒頭でお話しした刃牙の作中で範馬勇次郎が飲んでいるのは、ハーディーの「ノース・ドール」(作中で勇次郎は“ドス・ノール”と言っていましたが、ボトルの形状的に同じ物と思われます)ですが、ゾルディックに置いてあるものは「ハーディー・クリスタル・デキャンタ」となっております。
当店にノース・ドールのご用意が無いのは少々心苦しいですが、こちらもとても芳醇な香りと豊かな味わいの楽しめる1杯です。べっこう飴の用意がある為「カロ…コロ…」と噛み砕きながら地上最強の気分をお楽しみくださいませ。
歴史的にもかなり深いブランデーやコニャックですが、バックボーンを知るだけでまた違った楽しみ方も出来そうですね。
最後に、オーナーバーテンダー雨宮も大の刃牙ファンであり過去にYouTubeでハーディーとキャンディについて紹介しておりますので、よろしければこちらの方もご視聴よろしくお願いいたします。
「強くなりたくば喰らえッ!!!」